苦情・クレーム

企業様(法人様)において、顧客からの苦情・クレームに対する対応は、大きな悩み事の一つかと思います。もちろん、正当な理由のある苦情・クレームに対しては、企業様(法人様)の商品の品質確保や向上につながることもあり、その内容を精査するとともに、顧客に対して十分に説明するなどして、真摯に取り組むべきです。

ところが、全く理由なき、嫌がらせ目的の悪質な苦情・クレームの場合には、話は違います。このような苦情・クレームは、詳細に説明をするだけでは収まらず、従業員が長時間、その対応を迫られるなどして、正常な業務ができないという事態が生じかねません。

このような苦情・クレームに対してどのように対処すれば良いのか、問題になります。

苦情・クレームへの対処方法

まず、どのような苦情・クレームに対しても、その苦情・クレーム内容を記録化することが重要です。
苦情・クレームは、電話により突然なされることが多いため、その返答も電話で行いがちになってしまいます。もちろん、正当な理由のある苦情・クレームであって、電話での返答で納得してくれる顧客であれば、このような対応でも問題ありません。
しかし、悪質な苦情・クレームの場合には、揚げ足を取ってくる、ということがあります。また、社員の返答は、いわゆる社内での決済を経ていないことも多く、企業様(法人様)の返答とするにはリスクがあると言わざるを得ません。可能な限り、電話での対応は控えた方が良く、一旦回答は保留し、返答は全て文章で行った方が良いでしょう。

文章での回答方法ですが、例えば、内容証明郵便、電子メール、FAXなどが考えられます。いずれも内容が文章の形で残りますから、問題ありません。ただし、内容証明郵便が最も信頼性・信憑性の高い文章の残し方ということになりますので、あまりに悪質な苦情・クレームであれば、内容証明郵便にて対応すると良いでしょう。

次に、どのような文章を残せば良いのか、ということについてご説明致します。苦情・クレームは電話によりなされることが多いため、その都度録音しない限り、その内容が記録化されないことが多いです。そのため、相手方からの苦情・クレーム内容を記録化するために、回答の文章にはその内容を記載すると良いでしょう。例えば、「先日、御連絡いただきました○○○○の件ですが、」「貴殿から『○○○○』というお問合せをいただきましたが、」などの形で、相手方の苦情・クレーム内容を書き留めておくのです。

そして、苦情・クレーム内容の返答は、可能な限り簡潔に記載することが重要です。もちろん、いわゆる正当な理由のある苦情・クレームに対しては、詳しい説明や、場合によっては謝罪等も必要になってきます。しかし、そもそも悪質な、嫌がらせ目的の苦情・クレームに対しては、このような詳しい説明等は必要ありません。「社内で検討致しましたが、恐れ入りますが、○○○○ということにつきましては、お受けすることは致しかねます。」など、端的に回答する方が望ましいでしょう。
相手方に対して回答しても、その苦情・クレームが止まず、業務に支障が生じる場合には、法的手続も視野に入れる必要があります。

裁判所に対して悪質な苦情・クレーム行為の差し止めを求める仮処分や不法行為に基づく損害賠償請求を求めるということが考えられます。また、不当に金銭を支払うよう強く求められた場合には、債務不存在の確認を求める訴訟を提起することも考えられます。
これらの裁判においては、相手方の苦情・クレームが悪質であることを証するため、これまでの交渉経緯が極めて重要になってきます。つまり、これまで述べてきた苦情・クレーム内容の記録化、回答の記録化が、後の裁判において極めて重要な意味を持ってくるのです。

これまで苦情・クレームの対処方法についての概要を述べてきました。もちろん、その対応の方法は苦情・クレーム内容により様々です。しかし、いずれにも共通することは、交渉内容を記録化することが極めて重要ということです。企業様(法人様)におかれましては、社員に対して、記録化することの重要性とその方法を、マニュアルなどを用意するなどして、周知徹底することが肝要です。

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