
遺言を作成するにあたって、遺留分権利者の権利を奪うことはできないため、後のトラブルを防止するという意味では、遺言内容は、可能な限り、遺留分権利者にも配慮した内容であることが望ましいでしょう。
ここで、遺言を作成するにあたり、あらかじめ遺留分権利者と協議の上、遺留分を事前に放棄してもらうという方法についてご紹介いたします。
相続の放棄については事前に行うことはできませんが(民法146条)、遺留分の事前放棄は家庭裁判所の許可があれば行うことができます(民法1043条1項)。
遺留分権利者が事前に遺留分の放棄を行ってくれるのであれば、後に、遺留分減殺請求権が行使されることもなく、トラブルの防止につながります。(なお、遺留分の事前放棄は、相続の放棄ではありません。そのため、遺言を残すということは忘れてはなりません。)
もっとも、無償で遺留分の放棄に応じる相続人(推定相続人)は基本的にはおらず、家庭裁判所の許可においても、遺留分放棄に代わる代償の有無は、判断要素の大きな一つとなります。
遺留分放棄の代わりに代償分を渡すとして、注意しなければならないことは贈与税です。贈与税の税率は非常に高く、代償として受け取ったとしても、その大半を税金として納めなければならなくなってしまいます。
そのため、この代償分を渡すにあたっては、「相続時精算課税制度」の利用を検討します。「相続時精算課税制度」とは2500万円の範囲において、相続時まで課税を先延ばし、最終的に相続税として精算するという制度です。相続税においては基礎控除もありますから、一定の節税効果を期待できるでしょう。
遺留分の事前放棄を選択するにあたっては、税務面からも慎重に行う必要がありますので、弁護士、税理士に相談すると良いでしょう。
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