遺産・相続

遺産・相続問題は、昨今の高齢化社会の中、年々増加しています。
もっとも、遺産・相続問題は、手続きが複雑なだけでなく、相続税法の改正などもあり、その対応が難しくなっています。
正しい法律等の知識を持ちつつ、一つ一つ適切に対処することが不可欠です。

遺産・相続問題とは?

遺産・相続問題は、親族間の問題でもありますので、可能な限り穏便に解決することに越したことはありません。
しかし、正しい法律の知識の下、適切な手続を取らなければ、感情論に終始し、かえって紛争が悪化し、遺産を適切に相続することが一層難しくなってしまいますので、注意が必要です。

遺産・相続において問題となるケース

他の相続人が、遺産を法定相続分どおりに分割してくれない。

具体例

相続人の一人が遺産を独り占めして、正確な遺産の内容を開示せず、他の相続人に対して、遺産を法定相続分どおりに分配してくれないという問題が考えられます。

対処方法

このような問題の場合、他の相続人が遺産を開示しない以上、こちら側で遺産を調査する必要があります。 調査の方法としては、固定資産課税台帳(名寄帳)を取り寄せる、金融機関に対して取引履歴の開示請求を行う、弁護士会照会制度を利用するなどの方法が考えられます。

また、このようなケースでは、感情の対立が激しく、当事者同士での話し合いが難しいこともあり、調停・審判という裁判手続を利用する方が、冷静な協議の場を設けるという意味でも有益です。

生前に多額の贈与を受けた人との不公平を無くして欲しい。

具体例

相続人の一人が、被相続人が亡くなる前に、被相続人から多額の財産の贈与を受けていたものの、被相続人の死亡時には、遺産が少なく、贈与を受けた者と受けなかった者とで不公平が生じている、という問題が考えられます。

対処方法

このようなケースにおいては、生前に贈与された分も、遺産の範囲に含めるという特別受益の主張を行います。 もっとも、特別受益を他の相続人が受けたことを証明しなければなりません。

不動産の登記簿謄本、預金口座の取引履歴などを取り寄せるなどして、証明することになります。

長年にわたり被相続人の介護等をしてきたことを考慮して欲しい。

具体例

相続人の一人が、被相続人の生前に、同居して介護をしてきた、あるいは、被相続人に対して多額の金銭を援助してきたということがあります。

このような場合、法定相続分のとおりに分割するとなれ ば、介護・援助をしてきた者にとって、不公平が生じることになります。

対処方法

このようなケースにおいては、これまで介護や援助などの被相続人の財産の形成のために寄与してきた者に対して、その寄与した分につき、優先的に遺産を相続させるべきという寄与分の主張(寄与分を定める調停・審判申立)を行います。

ただし、その寄与した分については、相談内容に応じて個別具体的に、金銭評価を行う必要があり、専門的な知識を要します。

将来、子ども達が遺産を巡って争いをして欲しくない。

具体例

優先的に遺産を相続させたい子どもがいるので、遺言を作成しようと思うが、子ども達の遺産を巡っての争いを防ぐには、どのように遺言を作成すれば良いのか、というお悩みを抱えている方は少なくないと思います

対処方法

まずは、遺言の作成については、公証役場で作成する公正証書遺言を作成する方が良いでしょう。

なぜなら、公正証書遺言の方が、公証人の立ち会いの下で作成することから、その信用力は極めて高く、また、自筆遺言の場合に必要な検認手続も不要となるからです。

もっとも、ある一人に優先的に遺産を相続させる内容の場合には、他の相続人の遺留分の侵害の有無については配慮しなければなりません。

もし、他の相続人が、既に多額の生前贈与を受けており、遺留分以上の財産を受けているような場合には、公正証書にその旨の記載を残すと良いでしょう。

そもそも相続人が分からない。

具体例

異母兄弟の相続事案などにおいては、そもそも、被相続人とはほとんど会ったことがなく、相続人すら全く分からないため、遺産分割の手続を進めることすらできない、という問題が考えられます。

対処方法

相続人の調査は、職務上請求により、被相続人の生まれたころからの戸籍謄本等を取り寄せることで行います。

この相続人の調査は、遺産分割手続を進めるにあたり根幹となる作業ですから、誤りがあってはなりません。

特に、兄弟相続の場合には、代襲相続などが生じるなどして、相続人が十数名に及ぶことがあり、その調査だけでも、相当時間を要することもあります。

戸籍謄本等は遡るに従い、非常に複雑かつ読みにくいものになりますので、注意が必要です。

遺産・相続まとめ

遺産・相続問題では、複雑な手続を経なければなりません。
しかし、そのまま遺産を放置することは、相続人にとっても不利益なことであり、また、適切に処理をすることも、被相続人の供養の一つです。
遺産・相続問題では、複雑でも、一つ一つ丁寧に対処していくことが肝要なのです。

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