慰謝料

交通事故には、大きく分けて物損事故と人身事故に分かれますが、人身事故では、必ずと言って良いほど、慰謝料の金額が大きな争点となりますので、慰謝料に関する知識を身に付けることが必要です。

慰謝料問題とは?

慰謝料とは、交通事故によって被害者に遭われた方の精神的な苦痛に対する損害の補填を意味し、不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき、請求することになります。
治療費のような損害賠償額を明らかにする領収書があるわけではないので、任意保険会社との交渉においては、必ずと言って良いほど問題になります。
そして、交通事故の慰謝料には、大きく分けて、「入通院慰謝料」と「後遺症慰謝料」の2種類があります。

「入通院慰謝料」とは、交通事故により負った怪我を治療するために、入通院をしたことにより生じた精神的損害を填補する(損害賠償請求する)ものです。

これに対し、「後遺症慰謝料」とは、後遺症が残ったことにより生じた精神的損害を填補する(損害賠償請求する)ものです。
「後遺症慰謝料」は後遺症が残らなければ発生することはありませんが、「入通院慰謝料」は人身事故であれば、必ずと言って良いほど問題になります。

以下、具体例を交えながら、慰謝料について詳しくご説明致します。

慰謝料に関して問題となるケース

納得のいく慰謝料額を受け取るにはどうすれば良いのか。

具体例

納得のいく慰謝料額を受け取る(損害賠償請求する)ための対処方法は、慰謝料について最も関心の高いテーマかと思います。

慰謝料とは、領収書などにより損害賠償額を立証するものではありませんので、納得のいく慰謝料額を受け取るには、その金額がどのように算出されるのかを把握しておく必要があります。

対処方法

この点、「後遺症慰謝料」は後遺症が残らなければ発生せず、その慰謝料額は、後遺障害等級により、ある程度画一的に定まっています。

これに対し、「入通院慰謝料」は、入通院日数を基準として算出されることから、被害に遭われた後、どのように治療してきたかにより、その慰謝料額が変わってきます。

例えば、むちうち症(他覚症状なし)の場合、裁判基準によれば、1か月の継続的通院で19万円、2か月の継続的通院で36万円となります。(なお、自賠責基準や任意保険会社の基準だと、一般的にはもう少し低い金額となります。)

しかし、無理をして通院を少なくし、通院期間中の実通院日数が少ない場合には、実通院日数の3.5倍の日数が通院日数となり、慰謝料額が少なくなってしまいます。

もちろん、事故態様に見合わない通院をしても、慰謝料額が増額することはありません(その場合には、治療費も損害賠償額として認められない可能性があります)。

しかし、本来、治療に専念しなければならない状態であるにもかかわらず、無理をして通院日数が少なくしてしまえば、治療が不十分となる上に、慰謝料額も少なくなってしまいます。

無理をせず、病院において十分な治療を受けることをお勧め致します。

傷害の部位・程度により、慰謝料額の増額はないのか。

具体例

傷害の部位・程度が特殊な場合、例えば、女性の顔や腕などに非常に目立つ傷が残ってしまい、基準通りの慰謝料額では納得がいかないというケースが考えられます。

個別事情により、どの程度であれば、慰謝料額の調整を受けることができるのか問題となります。

対処方法

裁判基準によれば、傷害の部位・程度によっては、20%から30%程度の範囲での慰謝料額の増額があり得るとされています。

例えば、女性の顔や腕などに傷が残ってしまった場合、その精神的損害は通常よりも大きく、慰謝料額が増額されることがあります。

裁判においては、傷害の部位を撮影した写真、病院でのカルテ、被害者の陳述書などにより、重大な精神的損害を被っていることを可能な限り客観的に証明する必要があります。

物損事故において慰謝料は認められるか。

具体例

例えば、物損事故において、事故車両が限定モデルであり、希少価値の高い物であった場合、車両が壊されたことを理由とした精神的苦痛を慰謝料として請求できないのか問題となります。

対処方法

物損事故において、慰謝料請求が認められる場合とは、裁判例によると、愛犬などのペットが後遺障害を患った場合など極めて限定的であり、車両の損壊により慰謝料が認められるということは難しいです。

そのため、事故車両が限定モデルであることで希少価値が高いことについて、査定書などを用いて、「物」の価値自体が高いことを、客観的に証明する必要があるでしょう。

慰謝料まとめ

慰謝料とは、被害者の方の精神的な損害を填補するものであります。
しかし、裁判においては、その精神的な損害をどのように客観的に立証していくのか、ということが非常に重要になります。
病院への入通院、証拠収集など、個別事案によりますが、可能な限り早めの対策が必要です。

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